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いつだって忘れはしないのだけれど思い出すことの難しさだってあるし

by おみつ

京都で一泊した。
二条城近くにある町家のゲストハウス。

大戸をくぐるとたちまち鼻腔を満たすのは、町家独特のあの匂い。
これは表現のしようなんてないのだけれど。
ほんの数年前、大切な人たちと毎日のように集った場所の匂い。町家の匂い。楽しかったあの日々の匂い。

働きだして大学の頃の友人と会うと、みんな揃って「京都に戻りたい」って言うんだ。
東京へ行った子も、地元へ戻った子も、はたまた縁もゆかりもない土地へ行ってしまった子も。

私だって考える。
ミナミの汚い路地を歩くのなら西陣の路地裏を歩きたい。
道頓堀を忙しなく往来するのなら夜中の鴨川デルタで星を眺めたい。
スーツを身にまといデスクに向かうのならゆるっとした部屋着で大学に向かいたい。

でもね、それってきっと。
当たり前なんだけれど。
そのとき、そこに、みんなが居たから。

だから楽しかった。だからがんばれた。

毎月出される設計課題だって、何日も徹夜してぼろぼろになってでも提出できた。
夜中にコンビニへおやつを買いに出かけたり、夏の真夜中に大学のグラウンドでこっそり花火をして警備員に見つからないよう隠れたり、冬の夜明け前に流星群だって騒いで鴨川沿いの草っ原にみんなで寝転んだり。
つらい恋愛だってみんながいたから忘れられた。笑い話にだってできた。

イベントを成功させるぞってときに起こったとんでもないトラブルにだって、迷いながら泣きながら、みんなと正解を探して歩き続けられた。


…そんな想いがぶわっと一息に押し寄せてきて、なんだかたまらない気持ちになってしまいました。

まだまだ寒い、ぴんっと張った朝の京都の空気に、

"しっかりしろよ"

そう言われているように感じた。


おみつ
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